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7 時間の相互関係を表現する

 

英文は日本文に較べて時間の相互関係の表現が厳しいのが特徴です。しかし、割合に規則性のあるものなので、英作文の練習をするうちに理解できるようになります。また、プレイン・イングリッシュのスタイルで書く実務文にはあまり複雑な時間関係の記述は少ないです。もし、このような複雑な時間関係がある場合は内容を言い換えて、簡単な時間関係で表現できるように工夫します。

 

例題 1:初級練習問題 132

 

「阪神大震災の被災者用の公営復興住宅で、一人暮らしの人が誰にもみとられずに亡くなる孤独死が、2000年以降の四年間で251人に上っていることが兵庫県の調査でわかった。」

 

Over the last four years, two-hundred and fifty-one people have died 1in temporary public housing for those who lost2 their own homes during the Great Hanshin Earthquake. Those two-hundred and fifty-one people were living 3alone and no one was taking care of3them when they died. This is4 the result from a recent survey conducted by the Prefecture of Hyogo.

 

1.       「2000年以降〈現在まで〉の四年間で亡くなった」ので現在完了形でhave diedとすると、「これからも亡くなる方が出るだろうが」という気持ちが文に含まれます。日本文の「251人に上っている」にはこのような意味が含まれているのでしょう。単にdiedとすると、このような含意はありませんが、内容はわかります。

 

2.       この記事が書かれた時点で、過去の出来事なので過去形にします。

 

3.       People lived alone and no one took care of them.で日本文の内容は表現できますが、People were living alone and no one was taking care of them.とすると「進行形」なので臨場感があって表現が強くなります。livetake care ofはそれ自体である動作が進行している状態を示す動詞ですが、それを進行形で表現することで内容が強調されます。現在完了形の用法と同様に英語風の表現方法なので会得するのが難しいですが、このような内容の日本文があるときには、現在完了形、進行形を使ってたらどうなるか試してみてください。

 

4.       この記事の書かれた時点で、調査は完了しているが、調査書の内容は現在も有効である、ので現在形で表現できます。過去の調査で、内容が現在も正しいかどうかはわからないが、という時にはThis was the result from a recent survey.となります。ただし、「過去には正しかったが現在はどうかわからない」という視点に重点を置かずに時制の一致という英文の慣習に従ってThis was the result of a recent survey.と書く人も多いです。The survey was recently conducted by the Prefecture of Hyogo. という内容からThis was the result of the survey.という文が派生しているので、時制の一致が適用する、という考えです。さてこうなると「iswasのどっちにするの?」ということですが、一般的には時制の一致で過去形、特に内容が現在もあてはまるということを強調したい場合は現在形、が私の用法です。

 

 

例題 2:初級練習問題 65

 

「2003年5月26日は午後六時二十四分に東北地方に地震が起きました。大船渡市では震度6弱という大きなゆれがありました。その十二分後の六時三十六分に、盛岡地方気象台が「大船渡には津波の心配はありません」と発表しました。実際、津波は来ませんでしたが、もし津波が発生していたら、大船渡には地震後、五分後には最初の波が来ていただろうと考えられます。」

 

日本文の内容を事柄の時間を追って記述してあるので、英文で表現するときも、日本文の内容の順を追って行って問題なさそうですね。

「2003年5月26日は午後六時二十四分に東北地方に地震が起きました。」

 

「地震が起きました。」は地震を主語にしてAn earthquake happened. と主語+動詞の基本文型で表現するのが一番やさしいですね。あとは日時と場所を文に付け加えます。英文では一般に日時+場所の順序になります。日時は一番細かいところから始めます。at twenty-four minutes after six o’clock in the evening on the twenty-sixth of May, 2003 in the Tohoku regionとすると、一番フォーマルな表現方法ですが、何かと毎日忙しい今日では、英文の表現方法も簡略にして一目でわかるようにするのが通例です。at 6:24 pm on May 26, 2003 in the Tohoku region. とずいぶん短くなります。「午後」の省略形式はp.m.pmとありますがが、ここでもピリオドを省略したpmが流行ってきています。

 

予想がつかない事柄が起きるときには It happened. のようにhappenをよく使います。(主語+動詞+目的語)の基本文型を使うとAn earthquake hit the Tohoku regionと表現できます。hitは目的語を必要とするので、「何が〜に〜する」となって「地震が東北地方を襲った」という感じになり、表現が強くなります。

 

An earthquake hit the Tohoku region at 6:24 pm on May 26, 2003.

 

「大船渡市では震度6弱という大きなゆれがありました。」

 

一見、やさしそうに見えますね。There was 震度6弱のゆれ in the City of Ohfunato. として「震度6弱のゆれ」を入れればよいようです。研究社和英中辞典で「震度」を引くと、「震度6の地震」a tremor with an intensity of 6 on the Japanese seven-stage seismic scaleとでています。これを応用するとThere was a tremor with an intensity of lower 6 on the Japanese earthquake scale in the City of Ohfunato. と表現できます。これでもよいですが、一般的にThere is (are) ~.という表現は主語がはっきりしないので弱いので、もう少し考えてみましょう。英辞郎をを「震度」で引くと、「震度6強を記録する」register an upper 6 on the Japanese earthquake scaleという用例が見つかります。これを応用してThe earthquake registered an lower 6 on the Japanese earthquake scale in the City of Ohfunato.と表現できます。こうすると「この地震が」と主語がはっきりします。

 

「その十二分後の六時三十六分に、盛岡地方気象台が、大船渡には津波の心配はありません、と発表しました。」

 

内容を二つの小文にわけてみましょう。

 

「その十二分後の六時三十六分に、盛岡地方気象台が次のことを発表した。」

Twelve minutes later at 6:36 pm, the Morioka Meteorological Observatory announced the following.

 

「大船渡に津波が来る危険は無い。」

There will be no risk of tsunami coming to Ohfunato. 「大船渡では津波の危険は無い。」There will be no risk of tsunami in Ohfunato. でもよいですが、上のようにすると「津波が来る」という感じがでます。

 

二つの小文をつなげると次のようになります。

 

Twelve minutes later at 6:36 pm, the Morioka Meteorological Observatory announced that there would be no risk of tsunami coming to Ohfunato.

 

日本文では「「大船渡には津波の心配はありません」と引用句にして強調していますが、英文では引用句が短いので間接引用でよいでしょう。「津波の危険は無い」はこの発表の辞典では未来のことですが、この文章全体が過去の記述ですから、この過去の時制に合わせて、there would be no risk of tsunami coming to Ohfunato. となります。

 

「実際、津波は来ませんでしたが、もし津波が発生していたら、大船渡には地震後、五分後には最初の波が来ていただろうと考えられます。」

 

「実際、津波は〈大船渡市〉に来なかった。」

In fact, a tsunami did not come to Ohfunato.

 

「(本当はそうではないが)もし津波が起こったと〈仮定すると〉、この津波の最初の波は地震の五分後に大船渡に到着しただろう。」

 

この文の内容が「実際におこらなかったが、もし起きたとしたら、こうなっただろう。」という仮定法ですね。英文法の本にはこのような仮定法が詳しく載っていますが、実務文ではこの仮定法を使う場合は少ないです。実務文は事実の記述が多く、このような仮定の条件の記述が少ないためでしょう。この添削講座の練習問題でも、このような仮定法はごくすくないですね。逆に英会話では良く出てきます。

 

実際に起こる可能性がる場合を考えて見ましょう。はじめは未来形の場合です。

 

「もし津波が起こると、この津波の最初の波は地震の五分後に大船渡に到着するだろう。」

If there is a tsunami, the first wave of the tsunami will reach Ohfunato five minutes after the earthquake.

 

日本文は過去のことを記述しているので、この文を過去形にしましょう。

If there was a tsunami, the first wave of the tsunami would reach Ohfunato five minutes after the earthquake.

 

そしていよいよ「実際には起こらなかった仮定法」にします。この仮定法では時制がひとつ過去に遡ります。

 

If there had been a tsunami, the first wave of the tsunami would have reached Ohfunato five minutes after the earthquake.

 

これでよいですが、wouldcouldにすると「到着することが出来た」となって内容が強く伝わります。

 

If there had been a tsunami, the first wave of the tsunami could have reached Ohfunato five minutes after the earthquake.

 

文章全体は次のようになります。

 

An earthquake hit the Tohoku region at 6:24 pm on May 26, 2003. The earthquake registered an lower 6 on the Japanese earthquake scale in the City of Ohfunato. Twelve minutes later at 6:36 pm, the Morioka Meteorological Observatory announced that there would be no risk of tsunami coming to Ohfunato. In fact, a tsunami did not come to Ohfunato. But if there had been a tsunami, the first wave of the tsunami could have reached Ohfunato five minutes after the earthquake.

 

 

例題 3:初級練習問題 123

 

「秋田市の住宅街に出没し、12月17日に同市の森山動物園に保護された雄のニホンザルは18日仁別の山林に運ばれ自然に放たれた。サルは再び人里へ下りてきた時に判別できるように、頭や腰をスプレーで黒色に塗られた。」

 

日本文の内容は一読してわかりますが、英文で表現しようとすると、どこから手を付けていいのか迷いますね。どうしてでしょうか?

 

「秋田市の住宅街に出没し、12月17日に同市の森山動物園に保護された雄のニホンザルは18日仁別の山林に運ばれ自然に放たれた。

 

この文は長い長い連体形修飾節が「雄のニホンザル」の前に付いています。この連体形修飾節を英文で表現するのが先ず曲者です。日本文の連体形修飾節は、文の内容を続けていくための日本文の方法です。英文で表現するときには、連体形修飾節の内容を独立の文にしてみる、という英作文の方法がありますね。では内容を小文に分割しましょう。

 

「雄のニホンザルが秋田市の住宅街に出没した。」

「このニホンザルは12月17日に森山動物園に捕獲された。」

「このニホンザルは12月18日に仁別の山林に放たれた。」

 

「出没する」は字句どおりに解釈すれば「出てきたり、またいなくなったりする」ことですね。和英辞書を引いてみましょう。「出没する」make frequent appearancesとあります。A male Japanese monkey made frequent appearances in the residential district of Akita City. これで内容は伝わりますが、made frequent appearancesが立候補者が何回も選挙演説に来た、ような感じになるので、なにか他の言い方を考えて見ましょう。サルが「あっちこっと歩き回った」というのはどうでしょうか。「(あてもなく)歩き回る」はroamという言葉があります。walk aroundとしても良いでしょう。

 

A male Japanese monkey often roamed the residential district of Akita City.

 

On December 17, the monkey was captured by Moriyama Zoo.

このサルは森山動物園に「保護された」そうですが、要するに「捕まった」のですね。サルを強調して受動態で表現しました。

 

On December 18, the monkey was released into the forests in Nibetsu.

「仁別の山林に運ばれ自然に放たれた」そうですが、内容としては「仁別の山林に放たれた」ですね。On December 18, the monkey was carried to Nibetsu and was released in the natural environment of forests.とすると日本文の構成に近くなりますが、上のように内容の要点だけを表現したほうがわかりやすいでしょう。

 

さて、三つの小文を並べてみましょう。

 

A male Japanese monkey often roamed the residential district of Akita City. On December 17, the monkey was captured by Moriyama Zoo. On December 18, the monkey was released into the forests in Nibetsu.

 

これでも三つの小文は時間の順序に従って並べてあるので、内容がよくわかります。少し、小文のつながりを良くする方法を考えましょう。

 

On December 17, a male Japanese monkey that had been often roaming the residential district of Akita City was captured by Moriyama Zoo. On December 18, the monkey was released into the forests in Nibetsu.

 

関係代名詞を使ってA male Japanese monkey often roamed the residential district of Akita City. を二番目の文と結合しました。ここで動詞の時制に注意してください。本文の動詞はcapturedと過去形です。サルは市外をうろつき回ったのはその以前の話ですから、captured を基準にして時間が一つ遡ります。過去形―>過去完了形になります。

 

「サルは再び人里へ下りてきた時に判別できるように、頭や腰をスプレーで黒色に塗られた。」

 

「サルは頭や腰を黒いペンキでスプレーされた。」

The monkey was sprayed with black paint on the head and hip.

 

「ペンキは(サルが再び住宅地に来たときに)人々がこのサルを識別するのに役立つ。」

The paint will help people to recognize the monkey when it comes down to the residential district again.

 

「人里」は住宅地より広い範囲を指すのでしょうが、ここでは「住宅地」としておきましょう。

 

では小文を全部並べて見ましょう。

 

On December 17, a male Japanese monkey that had been often roaming the residential district of Akita City was captured by Moriyama Zoo1. On December 18, the monkey was released into the forests in Nibetsu2. The monkey was sprayed with black paint on the head and hip3. The paint will help people to recognize the monkey when it comes down to the residential district again4.

 

時間の順序が2と3で逆になっていますね。順序を入れ替えてから、2と3をつなげてみましょう。

 

The monkey was sprayed with black paint on the head and hip and released into the forests on the following day.

 

4は未来形ですが、この記事の書かれた時点以降現在まで通用する事柄なので、未来系のままでよいです。次のようにすると、本文の動詞がwas paintedと過去形なのでwill wouldに時制の一致の原則で変わります。

 

The monkey was painted because the paint would help people recognize the monkey when it came down to the residential district again.

 

文章全体は次のようになりました。

 

On December 17, a male Japanese monkey that had been often roaming the residential district of Akita City was captured by Moriyama Zoo. The monkey was sprayed with black paint on the head and hip and released into the forests on the following day. The paint will help people to recognize the monkey when it comes down to the residential district again.