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1 会話の特徴 1

2 会話の特徴 2
3 会話の英作文
(29 Sept 05)

4 事実を話す (1 Oct 05)
5 意見を話す (3 Oct 05)(8 Oct 05)

6 気持ちを話す(11 Oct 05)
 丁寧に話す
 (21 Oct 05)
8 まとまった話をする(21 Oct 05)

会話の英作文

 

この添削講座は、実務文をプレイン・イングリッシュの文体で書くことを学ぶ、を目的にしていますが、プレイン・イングリッシュは会話にも応用できます。会話の特徴と会話へのプレイン・イングリッシュの応用を私の経験を基にしてまとめてみました。

 

1 会話の特徴 1

 

今年の6月にイタリアを旅行したときの話です。

 

フィレンツェでレンタカーを借りて、シエナを通り、トスカーナのブドウ畑とオリーブ畑の続く丘陵地帯をモンテプルチアーノに向かっていました。やがてモンテプルチアーノの城壁に囲まれた旧市街が岡の上に見えてきました。天気も良く、オリーブ畑を近景にして岡の上の町をズームで撮れば写真になるな、などと考えながら道端に駐車できそうな場所を探しました。

 

田舎のハイウェイは片側一車線で路肩は50センチ位しかなく、その外側は低くなって草が生え、畑につながっています。けっこう交通量も多く、皆、100キロ位で走っているので、路肩に駐車できません。ところどころに畑に入るところがあり、少し路肩が広くなっています。後続車が無いの確かめてから減速し、畑に入る広い路肩に乗り入れました。車が止まる一瞬前に右側の前輪、続いて後輪がずるずると側溝に落ちてしまいました。車を降りてしらべてみると、なんとハイウェイの脇には幅50センチ、深さ50センチ位の溝がずっと続いています。草に覆われていて見えなかったのでした。車の床が側溝の壁にかかっていて、自力では脱出不可能です。

 

さて、どうしたものかと、まずは家内とブドウ畑に避難して、一服しながら考えていました。すると5分もしないうちに救急車が止まりました。偶然なのか、ハイウェイを巡回していたのか、今もってわかりません。若いイタリア人が三人降りてきて、一人が英語で “Are you all right?”と聞きます。”We are all right. We just slipped into the ditch.” と答えると、“That’s good.”と言って、また救急車に戻り始めました。すこしもグッドではないので、”Wait a minute, please. Can you call a garage for us?”, “Sorry, that’s not our job.”, “But we don’t have a cellular phone. Would you please?” すると、手帳を見ながら近くのガレージの電話番号をしらべています。ちょうどそのとき、またまた、道路の向こう側から60前後のおじさんがこちらに来て、救急車のイタリア人と何か話しています。そして間もなく、”He is going to help you. Bye.”と言って救急車は行ってしまいました。

 

日に焼けたおじさんはどうやら道路の向こう側のブドウ畑に仕事に来ていたようです。ニコニコしながらイタリア語で話しかけてきました。私はイタリア旅行に来る前に一月ほど、「旅行者のためのイタリア語」という小さな本とそれに付属したイタリア語会話のCDを勉強しました。「買い物」、「レストラン」、「道を聞く」、「名前を言う」などの状況で簡単な会話が載っています。「自動車のトラブル」という項目があったことを思い出して、先ずは「ボンジョルノ」と言ってからこの本を取り出しましたが、「ガレージに電話をかけて、レッカー車で車を側溝から引き出してもらう」などという都合の良い会話はでていません。

 

一目で私たちがどういう状況にいるかはわかりますが、一応、身振り手振りでおじさんと一緒に車の下をのぞき、「ガレージ」、「電話」というイタリア語を本から見つけて、「電話、ガレージ、グラーツエ」と身振りを交えて話しました。おじさんは携帯で電話をかけてから、モンテプルチアーノの町を指差してから話しかけます。「ガレージ」のイタリア語が聞き取れたので、状況から察して、「モンテプルチアーノのガレージに電話をかけたから、レッカー車が来るよ。」とわかりました。

 

ところがレッカー車がなかなか来ません。わたしは覚えているイタリア語を総動員して会話をしました。道路の向こうのブドウ畑を指差して「あなたのブドウ?」、おじさんは私をブドウ畑に連れて行きました。大きく手を広げて畑の端から端までをしめしました。「大きい」と私が言うとニコニコ笑います。モンテルプルチアーノを指差して「あなたの家?」というと、首を振り、モンテルプルチアーノの右の方を指差します。「あなたの家族?」おじさんには結婚している娘が一人います。私のイタリア語の本には「結婚している」、「独身の」という単語が載っています。わたしは「二人の息子」と答えました。「私の家、カナダ」、「トスカーナ、美しい、ワイン おいしい、今日、アッシジに行く」、「アルバータ、ロッキー大きい、トスカーナ、山 小さい」、おじさんは「トスカーナにも向こうの方に大きな山がある。アッシジは近い、毎日、朝から畑に来る、カナダには行ったことがない。」などと私にもわかるように答えてくれました。「ガレージ、忙しい?ランチタイム?」、「そうだと思う」などと話しているうちにやっとレッカー車が来ました。

 

「レンタカーか?」「そうだ」というとレンタカーのトランクの中から大きなフックを取り出して車の前にねじ込み、クレーンを使って車のどこにも傷が付かないように上手に側溝から引き出してくれました。「現金か?」「そうだ」ということで支払いも終わり、1時間のハップニングが終了しました。おじさんに「モルト グラーツエ」とお礼を言って別れました。

 

さて、会話は上の例のように、状況に大きく依存するコミュニケーションです。挨拶、買い物、道を聞く、などそれぞれの状況に応じた常套句があり、また身振り、手振り、表情、声の強弱、抑揚、など「話す英文」を補助する手段がたくさんあります。これらのすべての組み合わせで、事実と感情を効果的に相互に受け答えして、会話が成立します。しかし、効果的な身振り、手振り、表情、声の強弱、抑揚などの説明は紙面では難しいので、主に、常套句以外の効果的な「話す英文」について、私の考えをお話します。

 

会話は、前に人がいるので何らかのコミュニケーションの必然性があります。黙っていては、「黙っていることの意味」が正しくあるいは間違って相手に解釈されてしまいます。「相手に伝えたいこと、相手から聞きたいこと、があるときは、どうしてもこの目的を達成する。」という決意が先ず必要です。この決意があれば、「文法、発音がおかしいのではないか」という心配は2次的な問題になります。

 

私のイタリアでのハップニングでは、たまたま親切な人に遭遇してラッキーでしたが、イタリア人の農家のおじさんに伝えたかった内容は、「ガレージに電話をしてレッカー車を呼んで欲しい。」ということです。私はこの内容をイタリア語の文に出来ませんでしたから、重要な単語、「ガレージ、電話、(レッカー車はイタリア語会話集に載っていませんでしたから使えませんでした)」を身振り、手振りを交えて伝えました。この他の会話は、この親切な人に「私たちはイタリアが好きな旅行者で悪い人間ではない、私たちを助けてくれてとてもうれしい。」という気持ちを私のイタリア語能力のなかで伝えたいというものです。英語では次のようになったでしょう。私の限られたイタリア語を簡単な英語で表現すれば次のようになるでしょう。

 

“Please telephone a garage. Your vineyard? It is huge. Your house there? Your family? We have two sons. I live in Canada. Toscana is beautiful. Wine is good. Today, we go to Assisi. In Alberta, mountains are large. In Toscana, mountains are small. Is the garage busy? Lunch time?

 

「どうしても伝えなければならない会話」survival Englishの一番の基本は「手振り、身振り、表情を交えた単語」です。上の例ではtelephone, garageです。次は基本文型を使った短文です。上の例でもたくさんありますね。会話は身振り、手振り、表情などの補助手段が豊富ですから、基本文型の短文だけでも最低必要限の〈事実を伝える、気持ちを伝える〉会話が出来ます。

 

 

2 会話の特徴 2

 

英語を母語とする人の日常会話の構文の特徴をしらべてみましょう。これはなかなか難しい課題です。一般的な日常会話の状況を幾つか想定し、実際の会話を録音してから、この会話を書き取って分析します、会話は状況によって発声された言葉以外の身振り、手振り、表情、声の抑揚などの情報伝達手段が豊富に使われています。これらを正確に把握するには映像と共に分析しなければなりません。「発声された言葉以外の情報伝達手段」が会話に重要なことは、私たちの日常の経験から良く知っていますね。「わかりました。」と返事をしても、状況、表情、声の抑揚で、「本当にわかっていて快く納得した」、「不承不承、話だけは聞いておく」など実際の内容はさまざまですね。英語でも同じです。”Yes”の一言も、「発声された言葉以外の情報伝達手段」との組み合わせで、いろいろに異なった内容を伝えられます。

 

しかし、ここでは「発声された言葉を書き取った会話」だけを分析して、会話に使われる英文の構造をしらべます。「発声された言葉以外の情報伝達手段」は読者各自の経験と努力にまかせ、先ずは会話に使う効果的な英作文を勉強しましょう。

 

英語の会話の特徴を分析した本にRonald Carter and Michael McCarthy, Exploring Spoken English (Cambridge, UK: Cambridge University Press, 1997) があります。この本を基にして、英会話の特徴をしらべてみましょう。

 

決まり文句:

 

日常会話には決まり文句が多用されます。決まり文句には挨拶、買い物、道をたずねるなど、ある状況に特定なものと、一般的な状況で使われるものとあります。前者は英会話の本にたくさん載っていますね。日本語と同様に、このような決まり文句は、ある状況における会話に形を与え、会話者同士の共通基盤をつくるものですから、独創的な返事をするとこの共通基盤を壊してしまいます。”How are you today?”と聞かれて”My blood pressure is 120 today.”と答えては、後の会話が途切れるでしょうね。特定の状況のための決まり文句はそのとおりに覚えるより仕方ないですね。

 

一般的な状況の会話に使われる決まり文句もたくさんあります。as a matter of fact, as far as I am concerned, to tell you the truth, nobody is perfect, in Rome do as Romans do, what I mean is, as you know, などなどです。どの決まり文句も本来の意味よりも軽い意味で、会話のつなぎに使われます。決まり文句を使うことは、会話者同士の事物の共通認識の場を広げる役割を担っています。また、これらの句は会話の間を入れたり、話し手が次の何を言おうかと考える時間稼ぎに使われます。これらの一般的な決まり文句を覚えて会話に「適当に挿入すれば」、会話は英語を母語とする人の会話の雰囲気に近くなるでしょう。

 

英語を母語とする人の文化的背景はさまざまですから、世界共通の「英語を母語とする人の会話の雰囲気」というものが有るのかどうか疑問ですし、また日本人が英語を話すときにこのような雰囲気に合わせる必要があるのかどうか、という問題を提示する人もいるでしょう。私は、これらの決まり文句は英語の語彙の一部であるので、「雰囲気の醸成」とは関係なく覚える必要がある、という簡単な立場を取っています。これらの決まり文句は使いすぎると会話が聞きづらくなるので、「適当に挿入する」を経験から覚えなくてはなりません。話し相手がこのような決まり文句を使うときに注意して聞いて、その効果を判断します。

 

決まり文句の役割を拡張したものにsmall talkというものがあります。これは英会話の特徴というより、北米文化の特徴といったほうがよいですが、挨拶の次にする(特に初対面の人の会話で)「当たり障りのない無駄話し」とでもいえるでしょう。会話の本題に入る前に天気やスポーツ、その時々の話題などを話すことや、パーティーで初対面の人と話を始めるときにこのような話をすることを指します。私は長い間、このスモールトークというのが苦手でした。「何をぐだぐだくだらないことを話しているのだ、早く本題に入ろう。」と思っていました。本題を英語で表現するのに苦労しているのに、その上に余計な話をする余裕など無い、ということだったのでしょう。ここに会話と文章の違いがあります。会話は対人関係の中で行われるので、内容を伝えるほかに、対人関係を保つ、という目的が入ってきます。そして、移民の国で人の流動性の高い北米では「素性のわからない人」と合う機会が多く、スモールトークは素性のわからない人同士が共通項を見つけ出していくテクニックです。

 

文の省略化

 

会話は相手が目の前にいるので、会話の内容を共有できます。このため会話の英文は共有の認識を省略して効率化することが多くなります。

 

“Anything wrong with you?” (Is there anything wrong with you?)

“Nothing.” (There is nothing wrong with me.)

“I don’t think so. Tell me, what’s wrong?”

“Well, I got fired.”

“Really? When?” (Really? When did you get fired?)

“Yesterday.” (I got fired yesterday.)

 

このような省略は会話の本題が共有情報として確立した後で、会話を簡略にして効率化する、軽快にする、内容を確かめる、相づちで相手に同意したり反対したりして相手に話しやすくする、などの効果があります。どれ位の省略が可能かは会話の相手との関係にもよります。関係が近くなるほど省略は進みます。あまりよく知らない相手との会話では省略は制限されます。「めし、風呂、寝る(この例はもう古いですか?)」で通じる夫婦間の会話も、旅館に行ったときに仲居さんには言えませんね。

 

上の省略は会話の内容に直接関連したものですが、次のように「相づち」の常套句にも省略が使われます。

 

Sounds strange. (It sounds strange.)

Can’t be true. (It cannot be true.)

Seems worth it. (It seems worth it.)

 

相づち:

 

会話では聞き手が話し手に「あなたの話を聞いていますよ、どうぞ続けてください。」と励ます相づちが重要ですね。英語では次のような相づちがあります。

 

“Yes.”

“I see.”

“Really?”

“I understand.”

“Is that so?”

“I agree.”

 

日本語と同様に同じ相づちでも使い方(声の抑揚、表情など)でいろいろな意味を伝えます。ではどのような声の抑揚がどのようなニュアンスを伝えるのか、となると説明が難しいですが、自分の感情を素直に声に乗せる、というのが一般の原則でしょう。日本語でも聴き上手の人は相づち(表情、態度も含めて)が上手な人ですね。英語でも同じことが言えます。

 

話し手が聞き手の同意を求める、注意を喚起するために次のような常套句を会話の中によく挿入します。

 

“I think he is crazy. Isn’t he?”

“I don’t like it at all. Do you?”

“They don’t make things the way they used to. Do they?”

 

このようなときには、実際に聞き手の同意を求めているときと、単に聞き手の注意を引くだけで、聞き手の同意は求めずに、次の会話に移るときとあります。

 

意味のない間投詞

 

話し手が次に何を話すか考える時間稼ぎに意味のない間投詞、Mm (うん)、Uhum(うーん)、Ah(あー)などを入れることがあります。意味がなく聞きづらいので使わないほうが良いとされています。英語のスピーチを勉強するクラブではAh counterという役割の人を決めて、スピーチをする人が何回Ahなどを言ったかを記録して、無意識にAhなどを減らす努力をしています。私もスピーチクラブに入っていましたが、あるとき英語で電話をした後で家内が「このごろスピーチクラブの例会に言ってないでしょう?」と聞きます。電話の会話で私のAhの数が増えているのでわかるそうです。Ahなどの代わりに、Well, let me see, what I mean isなどで時間稼ぎができます。

 

会話に間を持たせる

 

文章は読む人が視覚的に文の全体を捉えることが出来、また読み直すこともできます。プレイン・イングリッシュノの文体では、一度文章に目を通すだけで内容が正確に把握できるような簡潔な文章が求められます。これに対して、会話は一瞬の聴覚的な出来事なのです。このため、話の内容を凝縮すると、聞き手にわかり難くなります。会話には、聞き手が内容を理解するのに必要な時間(間)が必要になります。会話はいろいろな方法でこの間を作り出します。

 

1)動詞の常套句を使う

 

“Please take a good look at this picture.”(Please examine this picture.)

“I had a long walk yesterday.”(I walked a long distance yesterday.)

“I will give him a ring.”(I will phone him.)

 

have, give, takeなどの基本動詞を使った常套句を一つの動詞の変わりに使って会話に間をいれます。このような常套句は会話をわかりやすくするのに役立ちます。

 

2)話に前置きを入れる

 

聞き手の注意を引き、また話し手が考える時間を取るために、本論のまえに前置きをいれます。相手の注意を引く効果がありますが、やはり使いすぎると耳障りなります。

 

“What I mean is ~”

“The thing is ~”

“The reason I am telling you is ~”

“You know ~”

“As I understand it, ~”

“To tell you the truth, ~”

 

3)副詞を多用する

 

会話は事実のほかに自分の考え、気持ちを述べることが多く、文章とくらべて副詞の使用頻度が高くなります。副詞を効果的に会話に入れることによって、会話を生き生きとすることができます。

 

“Basically, ~”

“Broadly speaking, ~”

“Eventually, ~”

“Usually, ~”

“Generally, ~”

“Certainly, ~”

 

文の一番最初に注意を引きたい名詞句を入れる

 

That lady over there with an umbrella, she is my aunt.”

That chocolate cake on the right, I would like to buy two pieces.”

 

このような名詞句は短くします。長いとかえって会話がわかりにくくなります。

 

日本語には「昨日、神田の古本屋で買った本はとても英語の勉強に役立つ。」のように長い連体修飾が多いですが、これを直訳風に話すと、”The book I bought yesterday at a used book store in Kanda was very useful for my English study.”というように長い主語になってしまいます。”I bought a book at a used book store yesterday in Kanda. I found it very useful for my English study.”というように、連体修飾節を一つの文にするとやさしくなります。しかし、前のように始めてしまったら、”The book I bought yesterday at a used book in Kanda. I found it very useful for my English study.”というように、「文の一番最初に注意を引きたい名詞句を入れる」形にするとわかりやすくなります。

 

婉曲、丁寧、曖昧な表現を使う

 

会話は内容のほかに目の前の人との対人関係もたいせつですから、文章に較べて婉曲、丁寧な表現法が多く使われます。また、会話で相手に言質を与えたくない場合は曖昧な表現を使います。文章は通常は内容を正確に伝えることを目的にしますが、会話では意識的に内容を曖昧にしたいことがあります。

 

 

1)一般的な言葉を使って自分の気持ちだけを伝える

 

“I’ve got to take my car to a garage again. That thing is driving me crazy.”

“It is your responsibility. I don’t want to get involved in that staff.”

“He said something like that.”

 

 2)直接的な表現を避ける

 

“He was kind of avoiding to face the real issue.”

“He has been pushing me to accept this plan. But I probably won’t do it.”

“She is sort of somewhat confused. I can’t really tell you what she is up to.”

 

3)may, might, would, couldなどを使って婉曲、丁寧、曖昧の表現をする

 

これらの助動詞を使った婉曲、丁寧、曖昧の表現は文章よりも会話に多く見られます。これらの表現により、話し手が聞き手に伝えたい内容(曖昧な言い方を使って確約を避けたいということも含めて)が誤解されることもありますが、話し手はその危険を考慮しても、さしあたって対人関係を重視して、このような表現を使うことがあります。

 

助動詞、may, might, would, couldなどを使った婉曲、丁寧、曖昧な表現法は会話の状況、内容で微妙に変化します。どのような場合にどのようなニュアンスがあるのかは、会話の経験を踏んで覚えねばならず時間がかかります。このような経験の少ない人は。”Would you please ~? Could you please ~” May I ~? などの一般的な丁寧表現は覚えて会話に必要がありますが、微妙な婉曲、曖昧表現は難しいので、内容を直接に簡単に説明したほうが誤解が生じる危険がなくてよいと思います。

 

 

A: “We’ve had a wonderful time. Dou you think we could meet again next week?”

B: “Well, we probably could if I would not be busy.” (I will be busy next week. I don’t think I can meet you next week. If I can, I will let you know.)

 

A: “Do you think he can really finish this project?”

B: “I am sort of wondering he might have some difficulty in completely finishing this project.” (I know he faces some problems in this project. I don’t think he can finish the project.)

 

以上の例のように会話には文章には見られないいろいろな特徴があります。このことは日本語の会話でも英語の会話でも同じですね。日本語の会話ではこれらのことを経験にもとづいて覚えた方法を使って無意識に行っています。英語の会話は多くの日本人にとって、経験から学んで自分の会話に活用するという時間はないので、意識的に学んで活用するしか方法がないですね。

 

以上が英語を母語とする人の日常会話の特徴です。次に会話の内容(決まり文句の次にくる会話の本題)の英語を考えてみましょう。

 

3 会話の英作文

 

会話の内容は状況によってさまざまですが、あらかじめ会話の内容を用意できる状況もあります。例えば、友人に会ってある事を相談する、商談をする、会議に出るなどです。私は会議に出る場合は資料があれば目を通し、必要な術語を覚えておきます。このようにある状況の会話の流れを予想して、日本語で頭の中で会話を予習しておいたり、紙に要点をメモをしておくと実際の会話に役立ちます。勿論、実際の会話は予習どおりにはなりませんが、頭の中に会話の大体の流れが入っていると会話が楽になります。

 

会話の難しさは、その場で英語で考えをまとめることにあります。文章の英作文では先ず(1)日本語で文章を書き、(2)小文に分割して、(3)英語の基本文型で表現してから、(4)小文を連結する、という方法を時間をかけてすることが出来ますが、会話ではこの時間がありません。英会話では(1)言いたいことの概略を考える、(2)英語の基本文型を使った小文で内容を少しずつ話す、(3)小文をつなげる方法を使う、という順序になります。

 

言いたいことの概略を考える

 

「言いたいことの概略を考える」は、判断を必要とする内容のときは時間がかかりますね。これは英会話でも日本語会話でも同じです。日本語を母語とする日本人は「言いたいことの概略」は日本語で考えると思います。わたしも日本語で考えています。一人でいるときにも、「さてさて、この問題はどうしたら一番やさしく解決できるかなと?」、「この方法はだめだったから、こっちでやって見るか。」、「あ、出来た。」などと日本語で自問自答しています。

 

私は時々日英、英日の通訳を頼まれますが、他人の言ったことの内容を英語または日本語で表現するのは、自分で内容を考えて会話をするよりやさしいことに気づきました。「言いたいことの概略」はすでに他人が言っているので、その内容を通訳すればよいだけです。このように会話のの難しさの要因の一つは「その場で判断する」ことにあります。会議などの内容があらかじめ予想がつくときに、自分の言いたいことをメモしておくと、時間をかけてこの判断を用意しておくことができるので、実際の会話がやさしくなります。

 

この判断を考えているときに、次のような常套句で時間稼ぎが出来ます。Well, let me see, let me think, it is a difficult question, you asked me a tough question, I am wondering how I can answer your question. また、相手の質問を繰り返して内容を確認するのも時間稼ぎの技術です。

 

A: “I wonder if you are interested in moving to Fukuoka to take charge of our branch office as manager. Of course, you will be paid more than what you get now.”

 

B: “You mean I will be a manager of our Fukuoka branch?”

 

A: “Yes.”

 

B: “Well, let me see. I think I will take it. It will be a new challenge for me.”

 

A: “Thank you very much. I am sure you will do an excellent job there.”

 

基本文型を使った小文で内容を少しずつ話す

 

会話は文章と違ってその場で内容の言い直し、補足ができます。また、話す内容の概略が決まらなくても話しながら考えられます。しかし、このためには「英語で考える」必要があります。この英作文添削講座の読者の皆様は、わたしが複雑な内容の実務文は日本語で書いてから内容を英語で表現することを強調し、「英語で考える」ことは「日本文の内容を分割して、英語の基本文型で言い直す」ことだと言っていることをご存知だと思います。、英語を勉強している日本人は、英語の語彙と表現法が英語を母語とする「教養ある人」(英語を母語とする人でも、良い文章を書くには長い勉強と経験が必要です。このことは日本語を母語とする人が日本語の文章を書くときとおなじです。)と較べると不足しています。書きたい内容を初めから「英語で考える」と、日本語で考えたときよりも幼稚になってしまいます。これが、先ずは内容を日本語で書く、理由です。

 

しかし、英会話では相手が目の前にいてその場でコミュニケーションをしなければならない時間の制約があり、初めから英語で考える必要があります。これが英語で文章を書くときとの大きな違いです。英会話で初めから英語で考えるには、「基本文型を使って内容を少しずつ小文で表現して話す」が良い方法だとおもいます。

 

A: “Hi, Makoto, you look so happy today. What happened?”

 

B: “Hi, George. I’ve finally found this book yesterday. This is an English grammar book by Hidesaburou Saitoh.

 

A: “What’s so special about the book?”

 

B: “This is a great book. One of the best grammar books by a Japanese scholar of English.”

 

A: “Where did you find it?”

 

B: “At a used book store in Kanda.”

 

A: “If it is such a great book, I wonder why it hasn’t been re-printed.”

 

B: “I don’t know. Maybe, publishers are only interested in new books. They don’t think a reprint of an old book can be a best seller.”

 

上の会話でAは短い基本文型で話していますが、全体の会話は自然ですね。会話は相手との話のやり取りなので、基本文型を使った表現でも、全体として自然な会話になります。次は長い内容を小文で少しずつ話してみましょう。

 

A: “Hi, Makoto. Why didn’t you come to our meeting yesterday? You’ve missed a lot.”

 

B: “Hi, George. I am sorry I couldn’t go to the meeting. Something happened yesterday and I was tied up.”

 

A: “I see. Could you tell me what happened?”

 

B: “Of course, I could. But it will be a long story.”

 

A: “It’s all right.”

 

B: “Well, the meeting started 9:00 am in Shinjyuku, didn’t it? You know that I live in Asakawa. It takes 40 minutes by train from Asakawa to Shinjyuku. So, I left home at 8:00 am. I took a bus to JR Asakawa Station. When I arrived at the station, my cellular phone rang. It was my wife. She said something went wrong with our washing machine. The washing machine kept running. It didn’t stop. I told her to pull out the plug. But she said she couldn’t reach the plug. So, I had to take a bus home. Yes, the washing machine was still running. I pushed all kinds of buttons on the machine. But I couldn’t stop the machine. I tried to pull out the plug. But it was tightly screwed to the wall and I couldn’t pull out the plug either. I finally decided to call a service man. He said he was busy and couldn’t come until noon. Well, I had to wait for him till noon. The service man finally came. He screwed off the plug and replaced a control box in the washing machine. But, by that time, it was already 1:00 pm. So, I missed the meeting.

 

A: “Hmm, an interesting story.”

 

B: “George, it’s true. Look at my shirt. It is very white. It was washed three times in the washing machine!.

 

このように内容が時間の経過を追って起こるときには、時間の順序どおりに小文で表現できますね。このとき、then, now, after that, at that moment, when, at the same time, finally, by that timeなど時間を示す接続詞を使うと話の流れがよくなります。

 

では次に因果関係を含む会話を見てみましょう。

 

A: “You are a good singer, Makoto.”

 

B: “Thank you, George. But how did you know it?”

 

A: “Oh, don’t you remember that I was at the karaoke bar last night too.”

 

B: “Right. You didn’t sing. That’s why I didn’t notice you.”

 

A: “No. I don’t particularly like karaoke. It’s too noisy for me.”

 

B: “Yes, sometimes a karaoke bar is too noisy. But it doesn’t mean you don’t like singing a song, does it?”

 

A: “No, but why do you like karaoke?”

 

B: “I like it, because it helps me to improve my speech.”

 

A: “Improve your speech? How?”

 

B: “Well, I think a good speech must be lively. That is, it must covey an appropriate emotion to listeners: happy, sad, excited, disappointed, angry, and so on. But in our daily life, we have very few occasions to openly express such feelings. But when you sing a song, each song has its own feeling and emotion. So, you can practice how you can express such feelings and emotions in your song. This is why karaoke helps me to improve my speech

 

A: “Now I understand. It makes sense. But it seems to me that people often sing loud at a karaoke bar just to forget about their stress. They don’t seem to be practicing expressions of feelings, except perhaps that of half-drunk happiness.”

 

B: “Unfortunately, that is true too. But I know a decent karaoke bar. Why don’t we go there together next time?”

 

内容の因果関係を明らかにするためには、because, This is the reason why ~, The reason is, soなどを使います。この他にも、that is, in other words, This means that ~, What I mean is ~などを使って補足説明を加えることが出来ます。

 

小文をつなげる方法

 

会話の内容は基本文型を使った小文で考えて表現するのが一番やさしく、またこのような小文を並べることで複雑な内容も表現できます。そして、会話の流れよくするために小文と小文をつなぐ方法を覚えると会話が効果的で自然になります。

 

1)相手の話に相づちをしてから自分の話をする

“I see.”, “I think so.”, “Let me see.”, “I don’t think so.”, “You are right.”などの相づちを使えます。

 

2)and, butで話を並列につなぐ。

 

これが一番やさしい小文の会話のつなぎ方ですが、一つの内容を伝える話の中ではand butは繰り返して使わないようにします。これはandbutでつないで話を長くすると、聞き手に内容全体の関係がわかり難くなりからです。これは、話し言葉は話すそばから消えていくのに、話をand butで長々とつなげると、聞き手はandまたはbutの前の話の内容を、話が終わるまで覚えていなければならず、無意識の負担になるからです。

 

3)副詞、接続詞、接続句・節を使う

 

“Basically, I go for it.”, “To my surprise, he has actually done it.”, “Specifically, I like its color more than anything else.” など、副詞、接続詞、接続句・節を使うと話の流れが良くなり、また聞き手に話の内容を把握する時間を与えます。

 

 

4)従属節を使う

 

“Yesterday, he invited me to his home, that was in Tachikawa, about 15 minutes by bus from the station.”

 

“I learned swimming at primary school, which had an outdoor swimming pool, that was damaged by an air raid but was still good enough.”

 

“I spent a lot of time playing outdoor with my friends when I was a primary school kid, because there was no TV, no computer games at home at that time.

 

“I saw snow-covered mountains for the first time in my life when I went skiing to Yuzawa when I was a high school student. My train came out of the tunnel and, all of a sudden, snow-covered mountains appeared in front of me, just like Kawabata’s Snow Country, that I had already read, by the way.”

 

上の会話の中の関係詞that, which, whenの使い方は、文章の中の使い方と少し違っています。会話の中では、その前に言ったことの補足説明として、会話に付け足して使っています。例えば、Yesterday, he invited me to his home. His home was in Tachikawa.と二つの小文にしてもよいですが、会話ではYesterday, he invited me to his home.と言ってから、すこし内容を補足しようとかんがえて、which was in Tachikawaとつなげています。このように関係詞を使うと、話をしながら考えたことを話に付け足していくことができます。話の内容に関連を付けるために有効ですが、関係詞をたくさん使ってだらだらと話を長くしては、かえって内容がわかり難くなります。

 

以上、英会話で「英語で考え」ながら話すには、英語の基本文型を使った小文を使って内容を小さい部分に分けて考えます。そして、相づち、副詞、接続詞、関係詞を用いて小文の関連をよくします。このような方法で英会話の英作文を考えるのが実用的な方法だとおもいます。